研究課題/領域番号 |
11557195
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
原 明 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (00094334)
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研究分担者 |
石倉 周平 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手
宇佐見 則行 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (60257483)
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キーワード | ヒドロキシステロイド脱水素酵素 / 神経ステロイド / 構造機能相関 / 遺伝子導入細胞 / 遺伝的多型性 / ベンズブロマロン / 神経疾患 / 前立腺疾患 |
研究概要 |
ヒトの3α-および20α-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(3αHSDと20αHSD)は、神経ステロイドや男性ホルモンの生成・代謝に関与する。本研究では、両酵素を標的とした新規な精神機能調節薬および前立腺疾患治療薬の開発を目標として、1)両酵素の構造と機能の相関研究、2)細胞および遺伝子導入動物における評価系の確立、3)各酵素の特異的阻害または活性化剤、遺伝子発現調節物質の創製を行う。また、4)遺伝子異常と疾患或いはストレスに対する感受性の個人差との関連を解明するため、両酵素の遺伝的多型性を解析する。本年度に得られた成果を以下に要約する。 1.阻害・活性化剤の設計と合成。20αHSDに特異的かつ非常に強力な阻害剤(阻害定数5 nM)としてベンズブロマロンを見出した。その誘導体を合成し阻害特異性を検討した結果、ベンゾフランの3位に疎水性基があることが阻害度を高めるのに寄与していることが判明した。 2.阻害・活性化剤の結合部位。部位特異的変異酵素の速度論的解析により、3αHSD-I型のHis-216が活性化剤の結合に、20αHSDの活性部位の形成に関わるLeu-54とC-末端末端領域の残基がベンズブロマロンの結合に重要であることを認めた。 3.遺伝子発現調節物質および遺伝子解析。11年度に見出した以外の新たな発現調節物質および変異遺伝子は見出せなかったが、3αHSD-I型の調節領域を解析した。 4.脳内移行性試験。ベンズブロマロンは脳内に移行することが知られている。また、これに勝る強い誘導体が合成できていないので、本試験は実施しなかった。 5.遺伝子導入。3αHSDおよび20αHSDを導入した細胞における代謝試験では、20αHSDは3αHSD活性も示し、神経ステロイドの不活性化に最も重要であることが判明した。また、細胞レベルでもベンズブロマロンは100nMで代謝を阻害した。
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