研究課題/領域番号 |
11557198
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
今川 正良 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (20136823)
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研究分担者 |
西川 淳一 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (90218131)
塚本 喜久雄 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (20183478)
田口 良 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (20080210)
斎藤 幸一 (株)住友化学工業, 主任研究員
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キーワード | 環境評価法 / コファクター / エストロゲン受容体 / 酵母 / 内分泌かく乱物質 |
研究概要 |
内分泌かく乱物質の検出方法を確立しその環境評価法を開発するため、酵母two-hybrid法によるアッセイ系を検討してきた。本年度は、本系を用いて多くの化学物質のスクリーニングを行い、構造との相関を検討した。さらに、全く異なった観点から内分泌攪乱作用を検討するため、PPARγの認識配列について検討し、以下の結果を得た。 1)酵母two-hybrid法を用いて、天然物、医薬品、化学製品など500種類以上の化学物質についてエストロゲン様作用の有無を検討した。その結果、64種類が陽性を示したが、それらはフェノール骨格を有し、さらにパラ位に疎水基を有していた。この結果は、今後のリスクアセスメントに有用と考えられた。 2)脂肪細胞の分化を制御する転写因子としてPPARγが知られている。大腸菌に発現させたPPARγとRXRαを用いて、ランダムオリゴヌクレオチド選択法により、PPARγ/RXRαヘテロダイマーが認識する配列を決定したところ、従来より報告されていたダイレクトリピートが優先的に選択されてきた。一方、RXRαが少ない条件下では、PPARγ/PPARγホモダイマーが形成され、エストロゲン受容体が認識するDNA塩基配列と同じパリンドローム構造を認識することが明らかになった。RXRαは、他の核内受容体ファミリーの多くに共通して結合して機能しているため、RXRαが少なくなった状態では、PPARγ/PPARγホモダイマーがエストロゲン受容体と拮抗する可能性も予想された。すなわち、その条件下では、標的遺伝子が変化する可能性が示唆された。さらに、脂肪細胞においてエストロゲン受容体が発現していることを考え合わせると、これらの受容体を介したクロストークも想定され、PPARγを介した内分泌攪乱作用の可能性が示唆された。
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