研究課題/領域番号 |
11557206
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
渡辺 清明 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20101983)
|
研究分担者 |
武井 泉 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80129519)
棚橋 紀夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10124950)
村田 満 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50174305)
岩永 史郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70213303)
|
キーワード | 動脈硬化 / 血栓症 / 遺伝学 / 多型 / 遺伝子診断 / 危険因子 |
研究概要 |
本研究は、血栓症や動脈硬化症と各種因子の遺伝子多型との関連に注目し、(1)十数種類の候補遺伝子を挙げ、遺伝子型と血栓症の頻度、重症度、血栓形成部位特異性(脳、冠動脈、深部静脈など)の関係を患者一対照試験で検討するとともに、これら遺伝子の関与を包括的に評価し、対立遺伝子頻度が欧米と異なるわが国でも、同じように危険因子となりうるか、わが国独自のデータを蒐集し、これらにの結果に基づき、個人個人の疾患予測のための遺伝子診断システムを構築し個体にあわせた血栓症予防法と治療法を考案する事を目的としている。 動脈硬化病変の評価は、臨床症状や通常の臨床検査の他に頚動脈エコー、大動脈CT所見で評価した。冠状動脈疾患については冠状動脈造影が得られた症例のみエントリーした。また遺伝子多型検査は末梢白血球のgenomic DNAを用いた。通常の方法で抽出された遺伝子DNAによるPCRのほか、全血からの直接PCRも行った。 平成13年度は、以下の研究成果を得た。 1.心血管危険因子マーカーのとしてparaoxonase、ホモシステイン、活性化XII因子、ANPの血中濃度測定法の確立とその臨床的意義の検討:昨年までの研究で、動脈血栓症に対する意義が明らかとなったこれらマーカーの測定法につき検討した。その結果、これらの遺伝子変異(多型)は活性に大きく影響し、特にlparaoxonaseについては測定方法に強く依存することが明かとなった。 2.multiplex PCR等を用いた動脈血栓症危険型遺伝子の同時診断法の開発:いくつかの危険因子の同時存在は、その個人の血管イベントへの罹患率を著しく上昇させる。従って、後天的因子のみならず、遺伝的危険因子についても、その総合的評価が個人のリスクを評価する上で必須であることは明白である。具体的には通常のmultiplex PCR技法を用い、末梢血から直接遺伝子型タィビングを行なえるシステムを検討し、実際に幾つかの遺伝子の組み合わせにおいて、本方法が有効であることを示した。 3.新たに幾つかの遺伝子多型が心血管病の危険因子である可能性を見い出した。例えばNotch 3と脳梗塞との関連、Cholesteryl ester tranffer proteinと2型糖尿病の大血管障害との関連などが明かとなった。
|