研究概要 |
1.前年度高齢者への運動を目的として作成し、若年者に対して十分な検討を行った受動運動機器(Passive Leg Cycle Exercise, PLE)を主たる目的である高齢者へ実際に適応するため、PLEの改良を行った。 2.虚弱高齢者5名に対して、十分な安静時間の後、5分ずつの安静時・受動運動(PLE)時における循環動態を支配する自律神経活動を比較検討した。解析はトノメトリ方式の非侵襲的連続血圧測定から得られた心拍および血圧変動のスペクトル解析により行い、モデル次数20の自己回帰モデルを適応した。前年度実施した若年者同様、PLE期では心拍・血圧の過度な上昇および循環動態を支配する自律神経活動の過度な興奮が見られず、PLEは若年者同様、高齢者に対して安全な運動となりうる可能性が示唆された。 3.虚弱高齢者5名に対して、5分間の受動運動(PLE)を連続5日間実施し、下肢受動運動の長期効果を検討した。評価項目は、循環動態を支配する自律神経活動および歩行速度とし、さらに主観的な効果を対象に直接インタビューした。解析はトノメトリ方式の非侵襲的連続血圧測定から得られた心拍および血圧変動のスペクトル解析により行い、モデル次数20の自己回帰モデルを適応した。5日間のPLE実施は自律神経活動に対して顕著な効果は見られなかったが、歩行リズムおよび歩行速度の改善が示唆された。また、「足が軽くなる」「入院中のいい運動」など、主観的な効果が聞かれ、運動量が減少し不活動状態にある入院中の高齢者に対して有効な運動となりうることが示唆された。
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