研究課題/領域番号 |
11558002
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
熊谷 秋三 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (80145193)
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研究分担者 |
檜垣 靖樹 佐賀医科大学, 地域保健科学, 講師 (10228702)
中村 友浩 大阪工業大学, 一般教育科, 助教授 (30217872)
勝田 茂 東亜大学, 大学院・総合学術研究科, 教授 (70038446)
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キーワード | 筋線維組成 / 速筋線維優位ラット / インスリン感受性 / インスリン抵抗性 / インスリン感受性 / エネルギー代謝 / 酵素活性 / 自発的活動量 |
研究概要 |
骨格筋線維は遅筋線維と速筋線維に分類されるが、筋線維組成はスポーツパフォーマンスの規定因子の1つであるため体育科学の分野では盛んに研究が行われてきた。一方、近年では、遅筋線維構成比が体脂肪率と負の相関を示すこと、インスリン依存性糖取込みと正の相関を示すこと、インスリン非依存性糖尿病患者や高血圧患者では速筋線維構成比が高いこと、等から筋線維組成が肥満やインスリン抵抗性症候群のリスクファクターである可能性が指摘されている。また、骨格筋の酸化系酵素活性の低さについても同様の報告がなされている。しかし、これらの先行研究はいずれも単に関連性を示したのみであり、因果関係にまで言及しているものは見られず、骨格筋特性と肥満・インスリン抵抗性症候群の関係をさらに詳細に検討する必要性があった。そこで、本研究課題では選択交配によって作成され、遺伝的に筋線維組成が異なる実験モデル動物である速筋線維優位ラット(FFDR)を対照ラットと比較することにより、骨格筋線維特性の遺伝的な差が肥満やインスリン抵抗性にどのような影響を及ぼすのかを検討した。結果として、まず、FFDRはCRよりも高脂肪食による肥満の耐性が高いことが明らかとなった。その背景として、FFDRは筋の酸化系酵素(脂質代謝およびTCA回路)の活性が高く、さらに食事依存性の脂質代謝の適応能力が高いことが示された。また、FFDRはインスリン依存性糖取込み能も高いことが示された。一方、FFDRはCRよりも回転車輪付きケージによって求められた自発的活動量が多いことも明らかとなった。本研究の結果は、速筋線維構成比が高いことと脂肪蓄積やインスリン抵抗性に関連性があることを示す先行研究と矛盾しているように見える。おそらく、筋線維組成よりも筋のエネルギー代謝能力や身体活動量の方が肥満やインスリン抵抗性症候群とリンクしていることが予想される。
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