研究概要 |
平成12年度交付申請書に記載した「研究目的・研究実施計画」に従って得られた新たな知見等の成果は,概ね次のとうりである. 1,六郷扇状地の扇央および扇端のピエゾメータ群(各20m,50m,100m深)による水理水頭(標高,m)の自動継続観測の結果,水理水頭の年変化について次の結果を得た.(1),扇央20m深の水理水頭:約53〜58mの変動幅をもって推移する.(2),扇央50m深の水理水頭:約52〜56.6mの変動幅をもって推移する.(3),扇央100m深の水理水頭:約40〜42.2mの変動幅をもって推移する.(4),扇端20m深の水理水頭:約44〜47mの変動幅をもって推移する.(5),扇端50m深の水理水頭:20m深と同様に約44〜47mの変動幅をもって推移する.ただし,時期(水位の低下期)によっては,20m深の水理水頭よりも50m深の水理水頭の方が若干高く現れる.(6),扇端100m深の水理水頭:約36.2〜38.2mの変動幅をもって推移する.(7),積雪による道路消雪用井戸の揚水の間,扇端の20m深と50m深の水理水頭は急激に低下する.低下の変動幅は50m深のピエゾメータにおいて大きく約4mに及ぶ.一方,この間,100m深のピエゾメータの水理水頭値は逆に若干の上昇に転じる. 2,扇央および扇端のピエゾメータ群の観測結果により,扇央においては,鉛直下方向への地下水流が存在し,扇端においては,特に50mよりも浅い範囲で上方向への地下水流が現れている. 3,これらのことは,扇央部は地下水人工涵養の実施域として適しており,人工涵養の効果が扇端域において現れることを示唆する. 4,扇央および扇端のピエゾメータ群(各20m,50m,100m深)による水温の自動継続観測の結果,示唆に富む記録が得られており,これらの記録は本研究の今後の展開に役立てられる.
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