研究概要 |
平成13年度交付申請書に記載した「研究目的・研究実施計画」に従って実施した.特に本年度は,本研究の拠点となっている秋田六郷町において,日本地下水学会秋季学術大会が開催され,セッション7:「六郷扇状地の地下水」において,肥田ほか本研究の分担者:三宅,本研究の協力者:島野,安原,斎藤らによって,研究の成果として次の4件の発表がなされた. 1.肥田ほか:「六郷扇状地の水文環境」において,六郷扇状地の地下水循環の基礎となる,扇状地背後の水系,扇状地域の降水量,可能蒸発散量,土地利用,地下水位の年変化が把握された. 2.島野ほか:「六郷扇状地の地下水の水質について」において,湧水,浅井戸,自噴井,流水について全40か所の水質組成と,野中および湯川のピエゾメータ(各20,50,100m深)より採取された地下水の水質組成が明らかにされた.いずれもヘキサダイアグラム等によって表示された. 3.安原ほか:「水の同位体組成からみた六郷扇状地湧水群の形成プロセツ」において,水の安定同位体比(酸素,水素,炭素)に基づいて,六郷湧水群の形成プロセスが分析され,その結果,扇端の湧水群の水は扇頂部付近の地表水の寄与を受けていることがほぼ解明された. 4.斎藤ほか:「六郷扇状地の地下水流動と今後の地下水管理」において,六郷扇状地の水収支,水理地質構造,地下水流動が定量的に解析された.その上で,現在実施している池方式の地下水人工涵養が六郷扇状地の地下水循環・地下水管理に効果をお呼びしていることを明らかにした. なお,肥田らによる地下水人工涵養の成果,社会への還元については『秋田さきがけ』紙(2001.9.29,p.9)において紹介された.また,上記の学術大会において,上の4件の発表のほかにシンポジウム:「地下水と湧水を守る,が開催され,人工涵養に関する本研究の成果は,ここでも取り⊥げられた.本学術大会のすべては,『地下水技術』43巻12号(2001),pp.12-36に掲載・紹介された.
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