乳清タンパク質溶液を加熱し、可溶性凝集体が形成する際、タンパク質分子のどのような部位が直接、分子間相互作用に関与し、どのようにして結合するのか。また、可溶性凝集体のサイズや形態は加熱条件を制御することにより、調節できるのか、物性を制御する因子が何か、を明らかにすることを目的とした。乳清タンパク質以外の他の食品タンパク質についての検討も行った。可溶性凝集体の形成は、可溶性タンパク質について検討したかぎりでは普遍性が認められたが、不溶性タンパク質には検討していない。これらの点について、明らかにすることが本研究の第3の目的である。これらの系統的な研究を行うことにより、より実用性の高い素材の開発と、研究の展開を目指した。 乳清タンパク質加熱可溶性凝集体の異種タンパク質問との相互作用に優れていた。魚肉・畜肉食品にこれを添加すると、弾力性、結着性か著しく向上する。ゼラチンカプセルに乳清タンパク質の加熱可溶性凝集体を添加すると、カプセル強度が増し、しかも水による溶解性が向上する。この現象は、食品タンパク質の加熱可溶性凝集体が、調理素材としても、様々な利用が可能であることを意味しており、実用的展開が期待できる。この結着機構を明らかにするために、各種食品タンパク質とタンパク質の加熱凝集体との相互作用を検討した。方法としては、モデル系としてβラクトグロブリンの加熱可溶性凝集体と他のタンパク質、例えば卵白タンパク質、小麦タンパク質、ゼラチンなどと混合して、加熱ゲルを調製し、その物性に与える影響を系統的に調べた。
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