本研究では、実践に必要な情報機器を大学側から学校現場に持参し、通常の授業スケジュールを圧迫することなく、児童生徒による「学習成果の電子メディア化の支援」を行う「出前パソコン室」と、ビデオ機器を用いる「ビデオ化出前教室」を実践し、その教育的意義を検証した。 (1)「総合的な学習」の実践の支援:2002年度はじまる小中学校において「総合的な学習」の実践では、児童生徒の学習成果を広く公開することが求められる。本研究で実践した総合的学習の電子メディア化出前教室に対して児童生徒から好意的な評価を得た。 (2)学習成果の電子メディア化の教育的意義: 1)電子メディア化された学習成果を学級内や学校内での公開したり、保護者や地域への公開が容易に行える。学習成果を電子メディア化することによって、教材の管理が容易になり、また、次の学習活動の教材として過去の学習成果の容易になる。 2)学習成果の記録保存がこれからの学校教育では重要になる。学習成果の電子メディア化は学習者が自分自身の学習活動を振り返ったり、自己評価する上で貴重な資料(「電子ポートフォリオ」)となる。 このように「学習成果の電子メディア化出前教室」は、積極的に学習成果の公開を目指す学校や教師の要望に応えるものであることが明らかにされた。特に「情報機器を用いた指導に自信がない」「情報機器の整備が不十分であったり、旧式である」などの理由で、学習成果発信を諦めている教師が、学校外部からのサポートにより、学習成果を手軽に地域や全国・各地に発信できるようになり、地域住民の学校教育への関心を高めるなどの教育的支援機能があるとの結論を得た。
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