研究概要 |
1.科学教育における新い教材研究法の確立とその効果 数学および理科の教材として,次のような研究方法論を考案し,その効果を検証した。 (1)民俗学的方法:地域教材開発のため,授業者自身がフィールドワークを行い,地域に住む人々の記憶から地域の歴史的変遷の背景となる種々の要因を発掘することにより,教材開発を行うものである。 (2)事例外挿法:理科学習において,通常の授業で学習した基礎的概念を拡張・定着する目的で,複数の日常的な事象を計画的に提示することにより,連続的な橋渡し方略を実現するものである。 (3)意外性発生法:基礎的な知識の効果的な運用をあらかじめ分類し,学習者が解決する問題の中に組み込むものである。昨年度開発した課題対話型目標分析法の応用である。 2.科学教育における評価基準(ルーブリック)開発のための基礎的研究 教師にとっては児童生徒の反応を評価する明確な基準となり,また,学習者にとっては明確な学習目標として利用できるルーブリック開発のための基礎的研究を行った。5名の現職中学校数学教師に対し,同一の生徒の反応を評価するため,ルーブリックがある場合/ない場合,の評価プロセスを調査したところ,ルーブリックがある場合には,加点的評価を行う傾向にあることが示唆された。 3.遠隔共同研究システム/学習システム・推測型学習コンテンツの開発 市内の公立学校との共同研究体制および共同教育改善体制(地域一体型教育改善システム)を確立し,研究者自身がフィールドワークを行う中から,大学教育改善のための教材開発を行った。その教材は,現職教員の実践知を学ぶ際に,受講生自身が推測活動を行うことにより,学習効果を向上させるものである。講義補完型WBT(Web Based Training)システムを開発し,実際の大学院講義で利用したところ,当初予定した効果を検証することができた。
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