理科系教材のスキャナを用いた自動点訳システムの開発研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11558015
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 筑波技術短期大学
• 研究代表者: 大武 信之 筑波技術短期大学, 教育方法開発センター, 助教授 (10223851)
• 研究分担者: 田辺 吉久 株式会社東芝, コンピュータマルチメディア設計部, 主幹 ; 藤芳 衛 大学入試センター, 研究開発部, 助教授 (20190085) ; 鈴木 昌和 九州大学, 大学院・数理学研究科, 教授 (20112302)
• キーワード: 数式認識 / レイアウト解析 / 統一点字コード(UBC) / 画像データベース / 理科系教材 / 数式点訳

研究概要

1.数式認識・レイアウト解析関連
初年度は、数学・理科を中心に教科書や典型的な参考書、試験問題などのレイアウト解析ための文書モデル記述法の設計、および各レイアウト要素(図、表、文章、数式の領域識別、文書論理構造認識)などの判別基準に関する基礎的実験研究を行った。また、これまで認識が難しいとされた表やグラフ、線で描かれた図の認識に関しても、どこまで認識が可能かの検討を加えた。また、これと並行して、教材文書のレイアウト情報の点字出力形式の検討も行った。
抽象化された数式や図表を含む文書のクラス設計とC言語による実装、そのモデルを用いた内部表現からの出力形式(LaTeX,MathML,各種の点字コード体系等)によらない変換方式の設計と実装を行なった。
2.数式点訳ソフト開発
ユーザーインターフェースを含めたシステム全体の基本設計を行い、研究開発してきた数式自動点訳システムに対し、オブジェクト指向プログラミングを用い抽象化されたデータの扱いを検討を行ない、プロトタイプとしての一部システムヘの実装を行なった。
3.理数系入試問題の点訳調査
現在、英語圏で検討されている新点字コード(UBC)における数式・化学式の調査を行い、今後UBCが現行日本点字規則に与える影響を検討を行なった。現時点ではUBCを日本へ導入する結論が、日本点字委員会から出されていないため、点訳形式を現行日本点字規則とUBCの2つの形式で行う設計で、それぞれの変換形式に対する問題点を調査し、次年度以降のシステム開発に盛り込む予定である。

研究成果

• [文献書誌] 能隅、福田、玉利、鈴木: "絞り込み方による数式文字認識とその日本語/数式領域切りだしへの応用"電子情報通信学会論文誌D-II. Vol.j83-DII No.3(掲載予定). (2000)
• [文献書誌] R.Fukuda,M.Suzuki,et al.: "A Technique of Mathematical Expression Structure Analysis for the Handwriting Input System"Proceedings of the Fifth International Conference on Document Analysis and Recognition (ICDAR),Bangalore. 131-134 (1999)
• [文献書誌] H.Okamura,M.Suzuki,et.al.: "Handwriting Interface for Computer Algebra Systems"Proceedings of the Fourth Asian Technology Conference in Mathematics, Guangzhou. 291-300 (1999)
• [文献書誌] Ohtake,N.,Hara,S.,et al.: "A Check system of Japanese LaTeX document for the blind"Advanced Research in Computers and Communications in Education, Vol.II. ISBN1-58603-027-2 IOS Press. 307-313 (1999)
• [文献書誌] 楠,佐藤,原,大武: "音声を用いた視覚障害者用科学技術文書作成システム"電子情報通信学会,技術研究報告. ET99-76. 97-104 (1999)
• [文献書誌] 宇田川,新村,川満,楠,佐藤,原,大武: "XMLを用いた点字教材とその応用"電子情報通信学会,技術研究報告. ET99-82. 143-150 (1999)