研究概要 |
本研究では,数値データ等ですでに研究されている同定の技術を画像中物体の同定に応用し,統計的に「与えられた2つの画像がもとは同一であった確率」を評価することによって,画像中の個体が求める個体であるかを識別するシステムを開発する.本年度は,とくに(1)画像の特徴量の抽出法の開発,(2)画像の隔たりの評価の開発を重点的に行った. (1)については浅野(晃)が中心となり,モルフォロジーに基づいて画像中の物体形状の方向・形・サイズの特徴を取り出す方法を考案し,9月にイタリアで開催された第10回画像解析・処理国際会議で研究発表を行った.同時に,画像解析の分野で過去に浅野(晃)と共同研究を行ったイギリス・サリー大学のPetrou教授を訪問して,この分野の研究動向を調査した.また,この方法から派生する技術として特徴抽出にもとづく画像フィルタ最適化法を考案し,電子情報通信学会英文論文誌に発表した. (2)については西井が中心となり,従来画像の隔たりを表すのに広く用いられてきた最小2乗基準が必ずしも視覚的特性に合っていないことを示し,画像中の物体のエッジ部を重視した新しい基準を提案した. また,大瀧が中心となって,本研究のシステムで用いる統計モデルの検討を行った.さらに,本研究での物体同定の技術の応用分野の一つとして,布のテクスチェアの特徴量を利用することによる布の種類の同定を行うことを検討しており,浅野(千)が中心になって行うこととした. なお,当初は超高画質プリンタを購入予定であったが,その後のパソコン用プロジェクタや高精度ディスプレイの急速な普及により画像を印刷する必要はなくなってきたため,予定を変更して現時点で望める最高速のパーソナルワークステーションを購入した.次年度以降,同時に購入した数値演算・画像処理開発環境MATLABとあわせて,システムのインプリメントを行う.
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