研究概要 |
本研究では,数値データ等ですでに研究されている同定の技術を画像中物体の同定に応用し,統計的に「与えられた2つの画像がもとは同一であった確率」を評価することによって,画像中の個体が求める個体であるかを識別するシステムを開発する.本年度は,(1)物体同定システムの制作,(2)画像の特徴量の抽出法の研究を行った. (1)については,2つの画像の組を与えたときに,それらに写っている物体が「同じカテゴリーに属する物体」か,「異なるカテゴリーに属する物体」かを,その確信度とともに判別するプログラムを開発した.このプログラムでは,多数の画像を集め,それらから2つの画像の組をすべて取り出し,各組である特徴量についての2つの画像間の隔たりを求める.これをいくつかの特徴量について行い,その特徴量空間で「同じカテゴリーに属する組」と「異なるカテゴリーに属する組」とを最適に判別するロジスティック判別関数を最尤法で求める.この関数を求めておいたとき,新たに得られた画像の組を入力すると,その組が特徴量空間でとる位置に対応するロジスティック関数の値から,この組が「同じカテゴリーに属する」か「異なるカテゴリーに属する」かの判断とその確信度が得られる.木の葉の画像を題材としてこの方法を適用し,ひとつひとつの特徴量では判別不能な場合でも複数の特徴量を組み合わせることで判別が可能になることを示した.この研究については,2001年5月の応用統計学会・日本計量生物学会2001年度合同年次大会で発表予定である. (2)については,昨年度まで行っていたモルフォロジーにもとづく特徴量のほかに,フーリエ変換やテクスチャの差分にもとづく特徴量を検討した.これらの特徴量を使って,布地のテクスチャ画像に(1)の方法を用いて布地の種類の判別を行う研究を現在進めている.
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