研究概要 |
本研究では,数値データ等ですでに研究されているデータ同定の技術を画像中の物体同定に応用し,統計的に「与えられた2つの画像が,同一の物体のものである確率」を評価することによって画像中の個体が求める個体であるかを識別するシステムを開発する.本年度は,(1)物体同定システムヘのニューラルネットワークの導入,(2)繊維材料への応用の研究を行った. (1)について,昨年度は,2つの画像の組を与えたときに,それらに写っている物体が「同じカテゴリーに属する物体」か,「異なるカテゴリーに属する物体」かを,ロジスティック判別分析を用いて,その確信度とともに判別するプログラムを開発した. しかし,ロジスティック判別分析だけでは,誤判別率がまだまだ高い.そこで,誤判別率が高い場合についてのみ3層ニューラルネットワークによる判別を結合し,ロジスティック判別分析の明快なモデルによる確信度の表現とニューラルネットワークの高い判別能力をあわせ持つシステムを開発した.昨年と同じ木の葉の画像を題材としてこの方法を適用した結果,ニューラルネットワークとほぼ同等の判別能力をもち,かつ学習に要する時間を数分の一とすることができた.特徴量の線形結合を用いたロジスティック判別分析は2層ニューラルネットワークと同等と考えることもできるので,このシステムは,2層と3層のニューラルネットワークを適切に切り替えて判別するシステムと考えることもできる. (2)については,本研究で開発した画像特徴量を利用し,布地から人間が視覚的に受ける印象と画像の特徴量の関連を見出した.さらに,(1)のシステムを,撮影条件の異なる布地の画像を用いたときの布地の種類の同定に用い,良好な結果を得た.
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