研究概要 |
平成13年度は,多値集積回路技術に基づくコンフィギャラブルシグナルプロセッサの設計・試作を行った.さらに,さまざまな冗長算術演算アルゴリズムを用いたシグナルプロセッサの計算機援用設計(CAD)技術を検討した. 1.各種通信システムなどの用途において,数10(8160)16100MHz程度のサンプリング周波数を有する高速FIRフィルタが要求されている.昨年度の研究では,これをマッピング可能なコンフィギャラプルシグナルプロセッサをSW数系と2値集積回路技術を用いて試作した.この結果,回路規模が増大した場合に,膨大なプログラマブル配線に起因する性能限界が問題になることが明らかになった.この問題を解決するために,最大5レベルの双方向電流信号を用いる電流モード多値集積回路技術を考案し,これに基づく新しいコンフィギャラブルシグナルプロセツサを設計・試作した.2値論理による試作と比較して,回路面積を約50%に減少できるとともに,消費電力をサンプリング周波数に応じて4%(8160)1640%程度削減できることが明らかになった.LSIテスタによるチップ測定の結果,回路の一部に設計ミスが発見されたため,現在,設計修正を行っている. 2.ディジタル信号処理で必須になる加算,乗算,積和演算,除算,CORDIC演算,複素数演算のための冗長算術演算アルゴリズムの体系化を行った.さらに,冗長算術演算アルゴリズムに基づくシグナルプロセッサを記述・検証・合成するための新しいCAD技術を検討した.具体的には,進化的グラフ生成手法(EGG)による各種算術演算回路の自動合成システムを構築した.さらに,算術アルゴリズム記述言語ARITHを提案し,その処理系(形式的検証系・HDLコード生成系)を開発した.今後,ARITH記述によって正当性を保証した形で,冗長算術演算アルゴリズムの汎用ライブラリを構築していく予定である.
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