研究概要 |
最終年度に当たる平成14年度は,まず,ダウンサンプリング型のリフティングウェーブレットフィルタに対する新しい学習方式を確立した。その学習方式は,リフティングする前の高周波成分とリフティングした後の高周波成分との比を一定にするという条件であり,高周波成分の大きさに影響を受けない。この学習方式を特定信号の検出に応用し良好な結果を得た。また,この学習方式とクラスタリングの手法を組み合わせて画像検索に応用し,満足のいく結果を得ることができた。 さらに,ダイアディックウェーブレットフィルタについて研究した。対称なスプラインダイアディックウェーブレットを新しく設計し,それを画像の鮮鋭化やエッジ検出に適用した。年度後半には,ダイアディックウェープレットにリフティングの概念を導入し,リフティングダイアディックウェーブレットフィルタの構築法を確立した。このフィルタの応用として,フィルタ長の短いダイアディックウェーブレットフィルタの設計やモーメント条件をもつダイアディックウェーブレットフィルタの設計を行った。現在は,リフティングダイアディックウェーブレットフィルタに含まれる自由パラメータを用いて,画像からの特定パターンの高速な抽出法を開発している。また,画像のノイズ除去にも応用している。 ウェーブレットの多重解像度解析にヒントを得て,3D形状設計の研究も行った。測定される原物体形状の頂点の数は膨大であり,それらを連結すると不規則な三角形メッシュが生成され,多くの無駄な三角形が生成される。本研究では,多重解像度解析の概念に基づいて高速なメッシュ単純化アルゴリズムと,頂点位置制御法に基づいたメッシュ細分化アルゴリズムを開発し,少ない頂点数で原物体形状を近似することに成功した。
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