研究概要 |
目的:独居高齢者の宅内行動を別居中の家族に伝え本人家族双方の不安軽減を図るシステムの構築. 留意点:計測結果から健康状態を推測には,被験者の負担にならない計測方法の長期間継続が不可欠. 上記目的を達成するために用いた下記の手段について,以下のような成果を得た. (1)行動検知センサー:最新型の焦電型赤外線素子の採用と配線の無線化によって体積を1/3,重量を1/2にし,配線工事の簡略化,設置の自由度向上,コスト削減を実現. (2)宅内装置:情報の収集転送機能の内蔵で装置の体積や重量の90%低減とコスト大幅削減を実現. (3)情報集積装置:膨大な長期計測結果の多面的利用を図るため,計測結果のデータベース化で全データを継ぎ目無く利用できるようにした.また,独居高齢者の情報をインターネット経由で閲覧できる形式に変換する機能や,家族への効果的な情報提示方法も改良の繰返で完成. (4)解析方法:計測結果の統計的解析手法の実用性を高め,部屋間移動回数マトリクスやセンサの時間帯別応答頻度曲線の類似性判定の精度を高めた.同曲線の形状は,一般に良く似ているが各イベントの開始時刻や経過時間が不同で比較が難しいため,時間軸の伸長で相似度を判定するDPマッチング手法で精度向上.長時間無応答や滞在時間超過による自動緊急通報機能の実用性についても試行中. (5)加速度計:独自に開発した3軸加速度計内蔵の小型行動検知装置の常時携行によって被験者の運動量を連続的に計測する研究は,実用的かつ効果的な赤外線センサ補完策として有望である.高齢者の活動度を低下させる宅内転倒事故の検出は瞬間的事象の検出の難かしさから早急な実現は期待できないが体調の長期変動検出手段という位置付けでも有用性は充分高い.
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