研究概要 |
本研究の目的は,災害の発生する空間が自然・住民・防災機関の3つの場から構成されているととらえ,特に地域防災計画に規程される防災機関の災害対応行動を中心にしつつ災害事象全体のシミュレーションを行うシステムを開発することにある。 平成13年度は計画の最終年度として、前年度までに開発した各種サブシステムを結合し、実際の災害事例やシナリオを与えて災害対応シミュレーションを行なうとともに、その結果をもとに、情報の伝達性や初動体制が確立されるまでの時間といった具体的指標をもちいて、地域防災計画の性能評価を行なった。最後に、研究成果を報告書にまとめるとともに開発したソフトウエアを整理した。 具体的には、 1.前年度までに開発を進めてきた各種防災機関毎の災害対応行動模擬システムを結合することにより、防災組織全体の災害対応行動をミクロなレベルでシミュレートできるシステムとした。 2.防災組織は、関連する機関も含めると非常に大きなものになり、シミュレーション過程で扱う情報量も膨大になる。そこで、シミュレーション結果をユーザが理解しやすくなるような結果表示システムについて検討を行った。 3.各サブシステムの挙動をよりリアルにするために、水防訓練記録に着目し、訓練記録より災害対応行動を抽出することを試みた。さらに、抽出された災害対応の要素行動を、基本的なタスクの組み合わせとして表現することで、水防行動をシミュレートするシステムを設計した。
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