研究概要 |
本研究は,アブレーションプルーム中微粒子の外部電磁界による発生・成長・挙動の制御を目的としている。本年度は,外部磁界とプラズマプルームの制御,および発生する微粒子の抑制を試みた。まず,プラズマプルームを制御するため,高感度ICCDカメラを用いてプラズマプルームの発生・成長・挙動の観測を行った。その結果,外部磁界によって,プルームの形状が磁界の方向に変形し,その形状は磁界の大きさによって変わることが分かった。この性質を用いることにより,パルスレーザデポジション法によって3inch程度の大面積基板上に均一な薄膜が作製可能であることが示唆された。また,この外部磁界によって,薄膜上に堆積される微粒子(ドロップレット)の密度が減少し7.8×10^9cm^<-2>(磁界なしの場合)から0.67×10^9cm^<-2>(磁界を加えた場合)程度まで1桁程度減少することが分かった。 以上の成果は,JJAP(日)やThin Solid Films(米)等のジャーナルに報告し,従来得られなかった重要な知見を得たものとして,世界的に高い評価を得た。 今後はプラズマプルーム中の発光種やラジカル分布,微粒子の発生・成長・挙動の様子をゲートを付けたICCDカメラによりin-situ測定し,その発生・成長機構を定量的に解明する。また,結果をもとに,これまでに理論的に指摘されている静的(帯電微粒子に働く静電力等)および動的(荷電粒子と微粒子間の相対運動に起因する)力との比較検討を行う。
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