研究課題
基盤研究(B)
茨城県およびひたちなか市の地域防災計画(原子力災害編)を調べた。地域災計画(原子力災害編)に従った場合、原子力災害時、情報が茨城高専までどのようなルートで届くか調べた。一般的な情報は文部省から、避難所を設置する場合はひたちなか市からのルートしかない。文部省とひたちなか市に情報が届かない限り本校には情報は届かない(単線ルート)。文部省からは電話連絡、ひたちなか市からは、電話連絡か、屋外に設置された拡声器(行政無線)、または「使送」しか考慮されていない。市では、緊急時独自の放射線モニタリングの計画はなく、各避難所にサーベーメーターを配置することも計画していない。あらゆる測定データーは、科学技術庁に集積され、科学技術庁が公開したデーターだけが流通する制度になっていた(「情報の一元管理」)。原子力事故の際にこのような情報管理で本校に割り当てられる1330人の住民、1000人の学生と140人の教職員の安全を守ることはできない。必要なのは、緊急の独自の環境測定と通信網の確保である。改定中の市の地域防災計画では市役所と各避難所の間に双方向の無線電話網を構想しているが、国立学校である本校と県立高校は排除されている。この下調べが終わったところで東海村のJCOの臨界事故に遭遇した。情報の流れ、国、県や市の対応すべて地域防災計画のとおりであった。情報は何も届かないのである。GMサーベーメーターで学内を測ると幸い平常の値であった。どこまで放射線が届いているか車で測定に出かけた。東海村のJCO社の周囲数100mだけの局所的な広がりであることを測定により確認した。JCO、原研、サイクル機構のデーターは全て科学技術庁に集められ、30日深夜の省庁連絡会議まで開示されなかった。それまでは放射線の中で現場警備をする警察官にも伝えない非情なものであった。現場警察官と共同で自前のγ線測定を行い、臨界継続中の現場周辺の状況を把握した。
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