研究概要 |
本研究では,ある土壌サイトに低透水性土壌層を設置して,そこでの含水率を高め,その下の層への酸素の供給を抑制することにより下層での脱窒を促進する技術の開発を目指している.このためには,対象となる土壌サイトにどの様な低透水性土壌を投入するかを判定することが課題であり,本研究ではモデルを作成し,そのような土壌の選定を可能にすること,および,そのモデル設計に基づいた土壌ライシメーター実証実験を行うことを計画している.本年度は,モデルに関しては,定常状態での土壌の水流に関して,もともとの土壌と,低透水土壌との選択により,土壌の水分分布がどのように変化するか,また,それに伴い酸素供給抑制効果がどの程度であるかを算出できるところまで進めた.また,実験では,小規模のカラムに埼玉県農業試験場の圃場の土壌を充填し,その上端から水を供給し,その土壌層内の水分分布,吸引圧を測定できるところまで組み立てた.また,この装置を用いて,土壌水分特性曲線、土壌不飽和透水係数を測定した.現在,測定した土壌の保水性,透水性データに基づいて,どのような低透水性土壌を投入した場合に期待されるような酸素供給抑制効果が得られるかをモデルによりシミュレーションしている段階である. 今後,適切な低透水土壌の選定を4月上旬程度に終了し,それが終わり次第,現行のカラムに低透水土壌層を設置し,それをしない場合の土壌水分分布および硫黄脱窒実験を行い,その効果について検討を加える.この小規模実験は今秋まで行い,そのあとは,計画通り直径数十センチ,高さ1.5m程度のライシメーターでパイロットスケールの実証実験を行う.
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