研究概要 |
本研究は,土壌浸透水からの硝酸態窒素を直接除去する技術の開発を目指すものである。土壌に,その場の浸透水量とほぼ等しい飽和透水係数をもった土壌(低透水性土壌層と呼ぶ)を設置し,その下層に硫黄等の電子供与体を投入しておくと,水が浸透した場合に,低透水性土壌層の水分飽和度が上昇し,酸素拡散が抑制される。 開発上の一番の難点は低透水性土壌層をどのように調整するかという点にあったが,試行錯誤の結果,砂とシルト土壌を混合することにより,0.01md^<-1>(8160)160.1md^<-1>程度の浸透水量に対応できることが明らかになった。低透水性土壌層として,宇ノ気産の砂と平均粒子径(メーカー値)0.01mmのシルトを3:1に混合したものを用い,内径0.15m,高さ0.8mのカラムを2本用意し,1本には低透水性土壌層と硫黄と中和剤である炭酸カルシウムを投入し,もう一本には,硫黄と炭酸カルシウムのみを投入,供給水量0.025, 0.05, 0.1md^<-1>で硝酸カリウムを添加して約20mg-Nl^<-1>とした水道水を供給したところ,それぞれ79%, 84%, 94%の窒素除去率が得られた。また,さらに低流量に対応するために,低透水性土壌層として,飽和透水係数が約0.01md^<-1>のシルトのみを用いて実験を行った場合,低透水性土壌層で窒素除去が観察されたが,対照カラムにおいても窒素除去が見られた。今後,これについては,さらに検討を要する。 本研究については,そのフィージビリティが確認されたため,金沢大学より特許申請を行った。現時点で,浸透水量としては,排水の土壌浸透処理場への適用が可能であると考えられるが,今後,流量変動にいかに対応するか,また,さらに低流量の場合にいかに窒素除去を行うかが課題となる。
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