研究概要 |
本研究の目的はキノンプロファイル法を幅広く環境微生物動態解析評価手法として確立するための基盤となる研究として、各種微生物の定量化手法や分子生態情報との相互関係を明らかにしながら、キノン組成の解釈基準の設定、さまざまな微量キノン組成に対応できる分析およびプロファイル解析手法を確立することである。本年度は土壌汚染修復における微生物群集をモニタリングする手法として、微生物群集構造の解析にはキノンプロファイル法、呼吸活性を有する微生物数の測定にはCTC(5-cyano-2,3-ditolyl tetorazolium chloride)還元法、DTAF(5-(4,6-dichlorotriazinyl)aminofluorescein)染色による総菌数計数法とFISH法を取り上げ、これら手法の相互関係の解析を行った。 土壌試料としては野菜栽培が行われている通常の畑地土壌を用いた。土壌微生物の抽出には通常用いられているピロリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムおよびシュウ酸ナトリウムの水溶液を用いた。土壌から直接分析したキノン量に加えて、上記の手法で抽出された微生物についてキノン量、DTAF染色による総菌数および呼吸活性菌数を測定した。まず、土壌から直接抽出されたキノン量と比較して、土壌から上記の抽出液を利用して抽出された微生物のキノン量はわずか2.2%であり、キノン種ごとに抽出率の差も見られた。ピロリン酸ナトリウムによる抽出率が最も高かったが、それでも上記の方法で抽出された微生物群集は、土壌中での群集を反映していないと判断された。加えて、UQ-10,8,9をそれぞれ含有するプロテオバクテリアα,β,γ群のFISH法による菌数とキノン量との間に相関関係が確認された。
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