研究概要 |
環境浄化や有用物質生産に利用しうる新規デハロゲナーゼの開発を目的として研究を実施した。DL-2-クロロプロピオン酸を唯一の炭素源として含む寒天培地でのコロニー形成を指標としてスクリーニングを行い、静岡県浜松市の佐鳴湖の湖水からデハロゲナーゼ生産菌を取得した。16SrDNAの塩基配列から、本菌はMethylobacterium属であることが明らかとなり、Methylobacterium sp.CPA1と命名した。本菌体抽出液から、硫安分画、疎水クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーによって、デハロゲナーゼを精製した。サブユニット分子量は約34,000、ネイティブ酵素の分子量は約137,000であったことから、本酵素は四量体として存在するものと考えられた。精製酵素は、2-クロロプロピオン酸のD-体、L-体のいずれにも作用し、ハライドイオンの脱離を触媒した。クロロ酢酸やブロモ酢酸には作用したが、フルオロ酢酸には作用しなかった。また、本酵素はハロ酸のみならず、ハロ酸アミド(2-クロロプロピオン酸アミド)にも作用した。L-2-クロロプロピオン酸を基質としたときの至適pHは約9、Vmax値は27μmol.min^<-1>.mg^<-1>、Km値は0.76mMであった。本酵素は、ハロ酸アミドの酵素的変換や、酵素によるハロ酸とハロ酸アミドの識別機構の解析などに有用であると考えられる。
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