液体窒素温度以下での極低温下蛋白質結晶構造解析実現のため、ヘリウムを利用した吹き付け型試料冷却装置の性能評価を行った。同装置を大型放射光スプリング8のビームライン41XUに設置し、同装置の稼動調査、凍結試料取り扱い方法の検討を行うとともに、複数の長分子蛋白質複合体結晶について35Kでの回折強度データ収集実験を行った。その結果、同装置によって、容易に35K程度での低温X線回折実験が可能であることが明らかとなった。本研究で開発された装置は、平成13年5月ごろから、共同開発を行った(株)リガクより市販される。 また、極低温実験手法を用いることにより、筋小胞体カルシウムポンプ(分子量11万)、シタロン脱水酵素変異体(分子量6万)、F1ATPaseなどの低温結晶構造解析を実施するとともに、低分子量蛋白質アズリンの0.9オングストローム分解能での原子分解能構造解析を行っている。
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