平成12年度は、11年度に作成した2重鏡筒を持つ対物レンズを備えた蛍光イメージングシステムを用いて細胞観察を行い、その評価を行った。今年度の評価のポイントは、多重染色した試料のリアルタイム観察においた。 測定対象とした細胞:牛副腎皮質初代培養細胞、及びNeuro-2a細胞 染色方法:tetramethylrhodamine ethyl ester(TMRE)とCalcium Green-1(CG1)の2重染色 測定結果:細胞はTMRE40nM、CG1/AM5μMで染色した。どちらの色素を測定した場合も、蛍光フィルターと励起フィルターを交換するだけで測定可能な蛍光強度を得ることができ、実際の経時変化を測定することができた。通常の対物レンズを使用した場合と異なり、励起光が弱まっているためNDフィルターで励起光を弱めることは行わなかった。TMREの蛍光波長域ではCCDカメラの検出感度が良いので、TMREに関しては問題は全くない。一方、CG1の濃度は実用可能なぎりぎりのところであった。このことから考えると、もっと暗い色素を使用するために励起光強度を増すことができるような照明方法を考案すれば、用途は更に広がる。次に、波長の切り替えによる画像のぶれをチェックしたが反射ミラーを動かしていないので、全くぶれはなかった。また、波長切り替えの速さは、フィルターホイールにのみ依存しており、高速のホイールの使用により時間分解能も高まる。また、光学系のアラインメントに関しては、キセノンランプのアーク像が見えないので一様な照明が最も強い輝度で得られるようにアラインメントを行わなければならず、改良の余地がある。
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