本研究の目的1.RFHR2次元電気泳動法をさらに改良してプロテオームの有力な解析手段として確立する2.RFHR法の泳動装置を実用化する3.大腸菌のプロテオミクスにRFHR法を適用するに沿って研究を進め、以下の結果を得た。 1.RFHR法の分離能を向上させ、詳細な検出と同定を可能にした。 RFHR法は等電点の制約を受けないこと、蛋白の添加容量が大きいこと、人為的なスポッ卜の分裂を起こさないなどの特徴を持つ反面、スポットの濃縮能力でO'Farrell法に劣る。これは等電点法を採用しないことに主な原因があるが、1次元泳動中の拡散を抑制することによって改善できるはずである。そのために装置をガラス製の水平水没型に変え、低温下高電圧泳動を可能にした。これによってスポットが密集する中性〜酸性領域を従来の4倍に拡大することが出来た。この拡大画面によって遺伝子同定数の飛躍的な増加が期待できる。 2.従来方式を実用化したが、新方式の実用化は今後の課題である。従来の標準法の装置は日本エイドーによって製作販売されている。しかし販売実績は決して高いとは言えないし、装置の改良への努力が不足している。新方式の実用化についてはメーカーの選択のし直しをも含めて再検討が必要である。 3.大腸菌のプロテオミクスにRFHR法を適用して、324個の蛋白遺伝子を同定した。これはO'Farrell法によるChurchらの227個、SWISS 2D PAGEの167個を遥かに凌駕しており、2次元ゲルを用いた同定数としては大腸菌で最大となった。
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