研究概要 |
第二世代のノックアウトは組織特異的、発生時期特異的などのコンディショナルなノックアウトを行うもので、それ以外の方法では胎生致死になり解析できないような遺伝子の種々組織における役割を明らかにするために必要である。 そのために、Cre/loxPという酵素とその認識する特異的な遺伝子配列の組み合わせを使用することが行われている。この系をうまく働かせる重要なポイントは、酵素であるCreを組織や部位特異的に発現させることである。ところが、この酵素がうまく予定した部位でのみ発現するのかどうかを簡単に確かめる方法がなかった。そこで、本研究ではまず、このCre酵素の発現部位を極めて簡単に検出できるようにGFPを用いてKoresawa,Y.、Creが働くとその部位が緑色の蛍光を発するようになるCre検出用遺伝子操作マウス(レポーターマウス)を作製した。 作製したレポーターマウスを全身でCreを発現するCAG-Creトランスジェニックマウスと交配すると、予想通り全身の組織で緑色の蛍光を発することが観察された。また、精巣内でのみCreを発現するトランスジェニックマウスと交配すると、精巣内の生殖系列の細胞に緑色の蛍光が認められ、レポーターマウスとして使用可能であることを実証した。 トラップ用のベクターを3種類開発した。このうちpDEL3ベクターを使用して34個のトラップクローンを樹立した。このうちの4つは既知の遺伝子であった。このベクターを用いることにより、もとの遺伝子の発現時期や部位にかかわらず、ES細胞を使用してトラップすることが可能であることが示された。
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