研究課題/領域番号 |
11558103
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 政廣 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60158954)
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研究分担者 |
安藤 譲二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20159528)
山形 幹夫 株式会社 ニコンエンジニアリング, 光学部, 教授
神谷 瞭 日本大学, グローバルビジネス研究科, 教授 (50014072)
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キーワード | リン光寿命 / Pdポルフィリン / 組織酸素分圧 / 微小循環 / 生体顕微鏡 |
研究概要 |
生体の生命活動のほとんど全てが酸素を消費して合成されるATPをエネルギー源として営まれている。従って組織内での酸素分圧は生命活動が潤滑に行われているかどうかの最も直接的な指標の一つであり、その計測の重要性に疑いを挟む余地はない。本研究では生命活動の基礎となる組織への酸素供給過程解明のため、最新の光計測技術を基礎とした時間分解型蛍光(リン光)生体顕微鏡法を新たに開発し、長年の懸案であった生体組織内酸素分圧3次元分布のマイクロメータオーダーでの可視化を試みるもので、本年度は以下の成果が得られた。 酸素感受性リン光プローブの組織内分光特性分析:酸素感受性リン光プローブPd-meso-tetra(4-carboxypheny1)porphyrin (porphyrin product社製)の分光特性(Stern-Volmer特性)を分析した結果、組織および血液内における消光定数Kqおよび無酸素状態でのリン光寿命τ_0は何れも362mmHg^<-1>・s^<-1>と545μs(37℃、pH:7.3)と安定した値を示し、本研究に適用できることが明らかになった。 時間分解型生体顕微鏡の試作:Pdポルフィリン励起用光源には発振波長535nmのN_2/dyeパルスレーザー(20Hz)を用い、x20の長作動距離型対物レンズを介し落射方式を採用したことにより、組織上での照射径が10μmの空間分解能が得られた。また時間分解能はレーザ照射に同期してサンプリング間隔3μs,10bitの分解能でA/D交換した結果、1秒ごとの酸素分圧変化が連続して得られた。 骨格筋微小循環酸素分圧計測への適用:本年度に試作したリン光寿命計測用の時間分解型生体顕微鏡により、骨格筋を対象に細動静脈を含め微小循環領域での酸素分圧の局所計測を試みた結果、本法測定精度の高さが確認できた。また測定結果により細動脈上・下流および内外での大きな酸素分圧の低下が明らかになり、骨格筋細動脈内皮細胞における酸素消費の高さを示唆する結果が得られた。
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