研究課題/領域番号 |
11558106
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 東京医科大学 (2000-2001) 京都大学 (1999) |
研究代表者 |
森安 史典 東京医科大学, 医学部, 教授 (80191055)
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研究分担者 |
嶺 喜隆 東芝, 医用機器技術研究所, 研究員
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 超音波 / B型肝炎 / C型肝炎 / インターフェロン |
研究概要 |
遺伝子や薬剤を目的臓器に効率よく導入できる超音波治療機を開発することが本研究の目的である。臨床応用にあたっては、肝臓癌など体表から深いところにある病変に焦点を絞って超音波を照射するため、照射用専用プローブの開発が必要である。同時に病変部を正確に捉え照射する目的のため、ガイドとなる超音波断層診断装置と複合する必要がある。本研究では現在までにわれわれの研究で分かっている照射条件に検討を加え、遺伝子や薬剤・対象臓器に適した照射条件を決定する。これらの条件に適した照射用プローブの条件設定は複合そう地上で行へ、モニター上に表示されるようにする。この装置の開発により、遺伝子や抗がん剤などの薬剤を疾患部位の細胞に導入し、治療効果を引き出すことができるようになる。また抗がん剤やサイトカインなどの薬剤の目的臓器以外での副作用が軽減される。 今回、超音波照射による新しいdrug delivery systemの実用化に際して、我々は、IFNを注射した直後に肝臓に超音波を照射し、インターフェロン(IFN)の生物学的効果を増強することを検討した。C型肝炎ウイルス(HCV)、肝硬変、肝がんの撲滅は、国家的な緊急課題である。HCVの治療には、IFNが使用されているが問題点が多い。対外から照射された超音波のエネルギーが肝臓の血管の中を流れるIFNに作用し、ターゲットである肝細胞表面に有る受容体へのIFNの結合を促進する。本研究では、肝炎のIFN治療において、超音波照射を併用し、IFNの生物学的作用を増強し、ウイルスを排除できなかった無効例を克服し、副作用の少ない少量のIFNで充分な抗ウイルス効果を得られるような新しい治療法へと発展させることが可能であることが証明された。 国民病ともいうべき重要課題である疾患に対するもっと信頼できる治療薬であるIFNを、現在わが国のほとんどすべての医療施設に設置されているといっても過言ではない超音波診断装置を使用して、肝臓への超音波照射を加えることでその作用を増強可能であることを証明できた。これにより、薬剤費も大幅に削減できるため、本技術の開発による社会的、経済的効果はきわめて大きいといえる。
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