研究課題/領域番号 |
11558109
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉里 勝利 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20095516)
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研究分担者 |
片倉 健男 テルモ(株), 開発研究センター, 主任研究員
大房 健 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50243548)
小原 政信 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60132479)
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キーワード | コラーゲン / IL2 / bFGF / EGF / バキュロウィルス / キメラ分子 / バイオマテリアル |
研究概要 |
コラーゲンは、生物親和性が高く、細胞や組織の接着性に優れている上に、生体内で代謝され分解されることから、バイオマテリアルとして非常に有用な材料である。我々は、昆虫細胞を用いた組み換えコラーゲン合成システムと遺伝子工学的手法を利用し、ヒトIII型コラーゲンに成長因子であるEGFを連結したキメラ分子を作製することを試みた。EGFのcDNAをIII型コラーゲンのアミノ末端に連結した融合遺伝子を作製した。この融合遺伝子をバキュロウイルス発現系に導入し、融合タンパク質を生産した。 得られた融合タンパク質は、繊維性コラーゲンとしての性質を保持しており、3重螺旋構造を取っていることを確認した。このことは、この融合タンパク質がバイオマテリアルとして天然のコラーゲンの性質を保持しており、天然コラーゲンと同じ操作でバイオマテリアル素材として活用できることを示している。また、この融合タンパク質は、EGFとしての生理活性を持つと同時にIII型コラーゲン抗体及びEGFに対する抗体と反応することを確認した。 さらに、この融合タンパク質をゲル化させ、細胞培養基材として用いることが可能かを検討したところ、従来と同じ条件でゲル化し培養皿の底面に固定化できることが明らかとなった。また、培養皿の底面に固定化した状態でも、EGF活性及び抗EGF抗体に対する反応性には変化がなかったことを確認した。 これらの事実から、本研究で得られた融合タンパク質は、バイオマテリアルや徐放性ドラッグデリバリー材料として有用であると期待される。
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