動脈硬化度および内膜依存性血管拡張特性評価のための局所脈波速度計測法の開発

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11558110
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 香川医科大学
• 研究代表者: 千田 彰一 香川医科大学, 医学部・附属病院, 教授 (30145049)
• 研究分担者: 小坂 博昭 香川医科大学, 医学部, 教授 (60158897) ; 前田 肇 香川医科大学, 医学部, 教授 (00075508) ; 松尾 裕英 香川医科大学, 医学部, 教授 (90028514) ; 阪本 整司 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (60253267) ; 水重 克文 香川医科大学, 医学部, 助教授 (90166009)
• キーワード: 動脈硬化 / 脈波速度 / 超音波ドプラ法 / 心エコー・ドプラ検査 / 血管内皮 / 局所脈波速度

研究概要

代表者らは、2cmまでの近接した微小距離2点間において測定した超音波ドプラ信号同士の直接複素相互相関処理を行うことにより、高精度の時間・速度分解能で脈波の伝播時間を計測する局所脈波速度法を新たに考案した(特許権出願/超音波装置、特許出願番号:04-261111号、:05-51669号、:05-51670号、:07-182435号)。本研究の目的は、この方法の高精度化を図って、動脈硬化度のスクリーニングおよび治療の評価などに使用できるような、そしてまた内膜依存性血管拡張作動物質による急性及び慢性的影響を評価可能なような、研究用一体型装置を試作開発することである。
本年度は、これまでの準備段階での成果を引継いで、複数部位でドプラ信号を同時に得るための探触子および得られたドプラ信号間の相互相関係数演算部を有する超音波信号成績装置を特注し、一体型装置を試作した。しかしながら、一部動作に不都合が生じたため、再度改訂作業中である。そこで当面は既存のカラードプラ装置に改良を加え、局所脈波速度計測法の妥当性に関する検証を継続した。健常例にて大動脈起始部、腹部大動脈、腸骨動脈、腎動脈、頚動脈など複数カ所での局所脈波速度を計測して、性別、年代別正常値を明かとするため例数を増加させている。さらに、加令変化の部位別パターンにつき、データ解析を進めている。また、糖尿病患者を対象に局所脈波速度を計測し、これにACE-Iを投与して経過追跡し、脈波速度計測にあわせてNOの測定を行って内膜依存性血管拡張特性評価を行うべく臨床成績を集積中である。既に約100例の経時的追跡を進行中である。

研究成果

• [文献書誌] H.Masugata,K.Mizushige,S.Senda,et al: "Evaluation of Left Atrial Wall Elasticity Using Acoustic Microscopy"The Journal of Vascular Diseases. 50・7. 583-590 (1999)
• [文献書誌] K.Mizushige,H.Masugata,S.Senda,et al: "Cyclic Variation of Thickness in An Age-Related Thick Mitral Valve Observed by TransthoracicEchocardiography"The Journal of Vascular Diseases. 50・9. 735-743 (1999)
• [文献書誌] H.Masugata,K.Mizushige,S.Senda,et al: "Relationship Between Myocardial Tissue Density Measured by Microgravimetry and Sound Speed Measured by Acoustic Microscopy"Ultrasound in Med.and Biol.. 25・9. 1459-1463 (1999)
• [文献書誌] H.Masugata,K.Mizushige,S.Senda,et al: "Tissue Characterization of Myocardial Cells by Use of High-Frequency Acoustic Microscopy:Differential Myocyte Sound Speed and Its Transmural Variation in Normal,Pressure-Overload Hypertrophic,and Amyloid Myocardium"The Journal of Vascular Diseases. 50・10. 837-845 (1999)
• [文献書誌] 成田和穂,阪本整司,水重克文,千田彰一,他: "健常例における至適運動強度決定のための新しい心拍数予測式の考案とその有用性"J Cardiol. 33・5. 265-272 (1999)
• [文献書誌] 真鍋后輝,舛形尚,水重克文,千田彰一,他: "断層心エコー図法による加齢肥厚僧帽弁厚の心周期性変化の観察"J Med Ultrasonics. 26・6. 771-779 (1999)
• [文献書誌] X.Lu,S.Senda,H.Masugata,et al: "Evaluation of Age-Related Changes in Aortic Valve Using the Scanning Acoustic Microscope"J Med Ultrasonics. 26・10. 1035-1046 (1999)