研究概要 |
現在,シリコン系半導体薄膜形成においては,プラズマCVD法に代表される真空下でのガスの気相反応を用いた手法が主流であるが,近年,液晶駆動用半導体素子の大面積化や太陽電池におけるプロセスコスト低減の要求から,新規なプロセスの探索が求められている。本研究では,ナノメーターサイズの3次元状シリコン骨格が有機置換基で修飾された構造を有するシリコンポリマーの一種である有機シリコンナノクラスター前駆体とし,塗布型シリコン系半導体薄膜形成の新規プロセスを発展させるを目的とする。本年度は,(1)高純度有機シリコンクラスターを前駆体として真空下での予備焼成により形成したアモルファスシリコン薄膜のエキシマーレーザーアニーリングによる微結晶シリコン薄膜の形成。(2)レーザーアニーリングによって形成した微結晶シリコン薄膜のモルフォロジーのAFMおよびSEMによる観察。(3)微結晶シリコン薄膜の粒塊の成長に効果的なレーザーアニーリング条件の最適化,(4)ラマンスペクトルによるシリコンの結晶過程の検討を行った。AFMおよびSEMによる観察からは,エキシマーレーザーアニーリングによって,200nm以上の結晶シリコンの粒塊が効果的に形成されることが示され,これは,ラマンスペクトルによる520cm-2の結晶シリコンのバンド観察によっても確認された。
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