本研究の目的は、走査型X線分析顕微鏡を発展させて、蛍光X線のイメージングとともに回析X線を検出し活用する装置を開発することにある。 本年度は以下のような研究を実行した。 研究分担者の細川が、アメリカにおける当該技術の動向を探るためにX線技術関係の学会に参加し情報を収集した。その結果、アメリカでは宇宙探査用に小型の蛍光X線、回析X線分析計の開発が進められていることがわかった。われわれが開発しようとしているものは、イメージングを主目的にするもので、競合しないことも分かった。ただ、アメリカでは超小型のX線発生管の開発が進んでおり、この技術はわれわれも独自に開発する必要があることが分かった。 高野は大学院生と協力して、回析X線分析部分の概念設計を行った。コンピュータシミュレーションを行って、CCDで計測される回析パターンを予測した。さらに、CCDから得られる一次データの加工プログラムを作成し、石英、方解石など、地球科学において重要な鉱物の回析パターンをシミュレーションした。考えられる誤差要因を検討し、CCD素子上のX線到達位置の誤差がもっとも重要なことを明らかにした。シミュレーションの結果から、これらの誤差要因を加えても、鉱物の同定が可能となることが分かった。また、計測用のコンユータ、試料の位置決め用のレーザー投光器、CCD駆動回路の調整用のファンクションジェネレータを購入し、基礎実験を開始した。
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