本研究の目的は走査線X線分析顕微鏡を発展させ、蛍光X線のみならず回折X線も有効に利用して鉱物情報をとりだす装置を開発することである。このような装置ができれば、蛍光X画像による元素組成情報と同時に鉱物情報を得ることができ、その応用範囲はきわめてひろい。本研究による調査によれば、このような装置の開発は、アメリカで惑星探査衛星に搭載することを念頭においた開発がすすめられている。他には内外にめだった動きはなく、できるだけ早い実用化が望まれるところである。 本研究ではまず走査線X線分析顕微鏡の蛍光X線画像を解析することによって、試料の鉱物情報をとりだすためのアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは地球科学・材料科学において多くの応用を見出すことができるものである。さらに本研究では、装置の概念設計を行い、X線検出系の最適配置の設計をつめるためのプロトタイプ装置を開発した。現在、その性能試験をすすめているところであり、装置の実現と実用化にはまだ多少の時間がかかる予定である。
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