研究概要 |
平成12年度に実施する大規模な英単語の学習実験のための予備実験をつくば市の並木高等学校で開始した.予備実験の開始に先立ち,1ヵ月に行う学習回数の要因とインターバルの要因に加えて,学習する項目(今回は英単語)に様々な条件を設定できるよう,新しい実験計画法を考案し,予備実験では,それを実験プログラムに組み込んだ.これまで,学習項目の内容(例えば,品詞情報や難易度情報など)ごとに,学習の効果の現れ方を検討する方法はなかったが,今回考案した方法はそれを可能にすると考えられる.今回の予備実験で,この実験計画法の有効性が確認できれば,品詞や難易度ごとに学習のプロセスを記述することが可能になるはずである.今回の予備実験で具体的に設定した学習項目の条件には,共同研究を行っている当該企業が有する単語の区分情報(3区分)を採用した.これにより,それぞれの区分ごとに,各月の学習回数と学習月の経過に伴う学習の効果を別途検討できるようになると考えられる. また,学習者の学習経験の量と,それが記憶成績に現れる効果の関係を検討するため,小学生と中学生を対象にした記憶実験を実施しした.その結果,学習経験の量が記憶成績に現れてくることを明確に示すデータが得られた.特に,学習経験の量と記憶成績の関係は,学習関数を特定する上で有効なデータとなると考えられる. 技術的には,実験プログラムを,一般のコンピュータでも利用できるよう汎用性を持たせる改良を始めた他,実験プログラムを一般的なソフトとして改良してもらえる技術者とコンタクトをとった.また,著作権の問題がある一般の英単語のリストに代えて,フリーの英単語のデータベースを作る方向で検討を始めた.
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