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2000 年度 実績報告書

意識の自然化

研究課題

研究課題/領域番号 11610004
研究機関東京大学

研究代表者

信原 幸弘  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10180770)

キーワード意識 / 思考 / 言語 / 無意識 / 直観 / 古典的計算主義 / コネクショニズム
研究概要

言葉を用いて意識的に考える場合、その思考は脳のなかで生じるのではなく、むしろ環境のなかで生じるのではないかという点について考察した。一般に、言葉を用いて考えるとき、言葉は思考の表現であり、思考それ自体は言葉とは別のものであると思われがちだが、実際にはそのような思考は認めがたく、語ることが考えることにほかならない。そうだとすれば、言葉を用いた思考は構文論的構造をもつことになる。したがって、その点で、古典的計算主義は正しい。しかし、思考が構文論的構造をもつとすると、思考は脳のなかで生じるとは言い難くなる。なぜなら、コネクショニズムが主張するように、脳は構文論的構造を欠くニューロン群の興奮パターンを変形する装置だと考えられるからである。構文論的構造をもつ思考は、むしろ脳のそとに、発話として存在する。つまり、脳は、それ自身のなかで構文論的構造をもつ思考を生み出すのではなく、環境のなかに発話という形で構文論的構造をもつ表象を作り出し、そうすることによって環境のなかに思考を生み出すのである。これにたいして、美や善悪などに関する直観的な判断を可能にする無意識的な過程は、ニューロン群の興奮パターンの変形として脳のなかで生じると考えられる。古典的計算主義はそのような無意識的な過程を構文論的構造に基づく推論的な過程とみなすが、それは誤りである。推論的な過程は言葉を用いて意識的に行われる過程であり、それは脳のそと、環境のなかで展開されると考えられるべきものである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 信原幸弘: "コネクショニズムと消去主義"科学哲学. 33-2. 1-14 (2000)

  • [文献書誌] 信原幸弘: "考える脳・考えない脳"講談社. 211 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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