「共同体論から見たアリストテレス『政治学』の研究」という題目のもと、われわれ研究代表者・藤澤郁夫および研究分担者・斎藤和也は、平成11年度の研究を以下のとおりすすめた。 (1)アリストテレスの『政治学』および『倫理学』に関する文献を調査・収集を行った。この作業のために、両者は東京で打ち合わせを行ったし、藤澤は東京大学にて、また斎藤は広島大学にて、それぞれ文献調査をおこなった。 (2)藤沢は上述の作業と平行して、「ポリス的共同体への基礎視覚ーー倫理学から政治学へ」と題する論文を発表した。アリストテレスにおいて、倫理学は完結することなく政治学へと必然の展開をしなければならないことを、『ニコマコス倫理学』第10巻9章を中心に論じた。 (3)斎藤は、『政治学』第1巻2章で証明が試みられたポリスの自然本来性のテーゼをめぐる、KeytとMillerの論争を整理中で、その成果を公表するべく準備中である。
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