3年間の研究過程で、大きく、1.「シェリング-エッシェンマイヤーの関係」を軸としてシェリング自然哲学の発展過程を理論的に分析する。2.その自然哲学の中心にすわる「有機体」の問題を(1)「医学史」との関係で追跡すること、(2)有機体論的自然観の問題をヘーゲルのそれを対象として理論的、構造的に分析する。この二つの方向で研究を深化させた。 1.に関しては論文等として発表し現在まで両者の往復書簡を中心にして分析し、三段階の交渉のうち、二つの段階を一つの著書にまとめる方向で検討している。 2.(1)は一年目に当時の鉱物有機体の問題を分析し、そこから、医学上のブラウン説の問題に分析を集中した。レシュラウプとフーフェラントの論争がそれである。両者に関係する資料を収集し、日本人、ドイツ人の研究者との連絡をとった。これは「研究ノート」として、今後の展開の準備を行なった。 (2)はちょうどこの期間に、体系期の「自然哲学」講義筆記録が新たに出版されたために、その分析を開始した。
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