本研究は、世紀転換期を迎え、近代宗教学・宗教社会学の見直しの声が国際的に高まる今日の状況下で、前世紀未のドイツおよび日本における宗教状況と宗教研究の相関を解明するとともに、そこから宗教研究のアクチュアルな課題への示唆を得ることを目的とするものであった。 本年度は、まず、ドイツおよび日本における19世紀末から今世紀初頭にかけての宗教状況の解明のもととなる宗教資料および同時代宗教論の収集に努めるとともに、これに基づき、ドイツおよび日本における近代の宗教状況と宗教研究との有機的関連を跡づけ、各々の地域における宗教研究の文化的機能を検証するための分析に着手した。具体的な成果としては、日本の宗教学の祖である姉崎正治における宗教学と近代性の問題、およびドイツにおける宗教社会学のこれも祖というべきゲオルク・ジンメルの学説分析を特に重点的に行った。
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