今年度は、人間のからだに向けられる画像技術、しかも、自然科学的な性格をもつゆえに、われわれのからだイメージにたいして強い定力をもつ画像技術についての調査および考察の成果の一端として、「X線画像とからだ」という題名の論文を上梓することができた。なお、この論文については、竹山が研究協力者として参加している科研費補助金(21世紀日本の重要諸課題の総合的把握を目指す社会哲学的研究、基盤研究(B)(1)課題番号13410004)によって開催された研究会でも口頭発表を行い、多くの方から有益な批判や示唆を受けた。今後もそれらを踏まえ研究を続けたい。 さらに今年度は、「ジェンダー化されたからだ」という観点を設定して、フェミニズム研究者の諸論文を調査、検討した。この過程で明らかになってきたことは、今のところ次のように命題化できる事態である。「からだは透明化され内部を失っているのみならず、その内発的な運動もしくは展開をコントロールのもとにおこうとする圧力のもとにある」。 この事態は、女性がみずからのからだにたいして抱くイメージ(同時にそれは大部分、女性のからだにたいして男性が抱くイメージでもある)、そして、女性のからだの取り扱い方(取り扱われ方)において指摘できることである。 こうしたジェンダー化の根底に、いっそう根源的なからだ、いっそう根源的なからだイメージを想定してよいのかどうか。想定することに意味があるのかどうか。こういった問題がまだ手つかずに残っている。
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