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2000 年度 実績報告書

日本における「芸術家」イメージの形成史-絵画制作者はどのように語られてきたか-

研究課題

研究課題/領域番号 11610055
研究機関同志社大学

研究代表者

岸 文和  同志社大学, 文学部, 教授 (30177810)

キーワード芸術家 / 浮世絵師 / イメージ
研究概要

日本において、「芸術家」という用語と「芸術家」のイメージが、(1)いつ、(2)どのような過程を経て、(3)どのような性格をもつものとして一般的に流通するようになり、(4)なぜ流通しなければならなかったかを、「美術」に関するさまざまな言説-伝説・説話・伝記・評論-を分析することによって明らかにすることが本研究の目的である。
平成12年度は、「芸術家」という近代に固有の絵画制作者イメージの特徴を際だたせるために、多様な文献(説話集/画人伝/人名録/美術史)に記された絵画制作者のうち、近世に属する制作者-「浮世絵師」-のイメージに的を絞り、彼らについて語る《トポス》-反復して使用される《語句(決まり文句)》や《逸話(物語)》-を分析した。その結果、次のことが判明した。
1.浮世絵師自身による数少ない浮世絵論である渓斎英泉「大和絵師浮世絵の考」(『無名翁随筆』、天保四年[1833])によれば、「浮世絵」とは「大和絵」からの「分流」であり、「浮世絵師」もまた土佐や狩野の絵師と同様「真を写すを本意」とする画の功をもって世に貢献する「大和絵師」とみなされていた。そして、このような考え方は画人伝のレヴェルにおいて、固有の表象として結晶する。
2.前者-大和絵からの分流-は、例えば、岩佐又兵衛の「土佐流からの破門」、英一蝶の「町絵としての分流」というエピソードとして反復される。
3.後者-真を写すを本意とする-は、英一蝶の「将軍の秘事を描くことに起因する流罪」、橘守国の「狩野派の粉本を出版することに起因する[仲間の絵師から]非難」、西川祐信の「大内の隠し事を描くことに起因する御咎」など、「秘密を暴露することによって処罰される」というトポスを形成する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 岸文和: "指令と予言-中将湯広告に見る華宵の女性イメージ"大正ロマン. 16号. 6-9 (2000)

  • [文献書誌] 岸文和: "絵画行為論-新しい美術史のために"美術史論壇. 10号. 57-72 (2000)

  • [文献書誌] 岸文和(共編著): "日本美術を学ぶ人のために"世界思想社. 415 (2001)

  • [文献書誌] 岸文和(分担執筆): "Informations system and Kulturelles Leben"Harrassowitz Verlag. 281 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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