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2001 年度 実績報告書

後白河院の絵巻制作とその機能に関する調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 11610061
研究機関恵泉女学園大学

研究代表者

稲本 万里子  恵泉女学園大学, 人文学部, 助教授 (20240749)

キーワード後白河院 / 彦火々出見尊絵巻 / 伴大納言絵巻 / 吉備大臣入唐絵巻
研究概要

平成13年度は、「彦火々出見尊絵巻」の模本に描かれた異界の表現、ひいては院政期の異界観について検討した。まず、「彦火々出見尊絵巻」の原本と同じ、常磐光長または光長工房の作である「伴大納言絵巻」「吉備大臣入唐絵巻」を取り上げ、これらの絵巻に描かれたモチーフを、装束、武器、調度、建築、自然、乗物の六つのジャンルに分け、さらにそれらを、帝(皇帝、龍王)、男性貴族、女房(女官)、武将、庶民の装束、扇(団扇)、刀(剣)、槍、鉾、弓矢、馬具、飲食器、家具、建物、樹木、牛車、船に細分し、比較検討した。
その結果、三つの絵巻はそれぞれ日本、中国、龍宮を卿台にしているが、「吉備大臣入唐絵巻」に表わされた中国風のモチーフは、「彦火々出見尊絵巻」における龍宮世界のモチーフと共通すること、そして、これらの異国・異界のモチーフは、日本を舞台にした「伴大納言絵巻」のモチーフと基本的に同形ではあるものの、輪郭線を湾曲させ、大柄な文様を描き込み、鮮やかな色彩を塗るなど、より装飾的に加工されたものであることが明らかになった。
これらのことから、色彩と装飾の過剰なモチーフは、絵巻の鑑賞者に対し、物語の舞台が異国または異界であるとの認識を促し、それらが繰り返し用いられることによって、異国・異界を表わす記号になっていったと考察される。すなわち、院政期における想像上の異国・異界とは、色彩と装飾の過剰な世界であったと考えられる。詳細は、平成14年度中に論文として発表する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 稲本万里子: "描かれた出産ー「彦火々出見尊絵巻」の制作意図を読み解く"服藤早苗編『成育儀礼の歴史と文化(仮題)』(森話社)に収録予定. (未定).

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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