• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 研究成果報告書概要

後白河院の絵巻制作とその機能に関する調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 11610061
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 美術史
研究機関恵泉女学園大学

研究代表者

稲本 万里子  恵泉女学園大学, 人文学部, 助教授 (20240749)

研究期間 (年度) 1999 – 2002
キーワード後白河院 / 彦火々出見尊絵巻
研究概要

後白河院(1127-1192)はさまざまなジャンルにわたる浩瀚な絵巻を作らせたことが知られるが、その多くは失われ「伴大納言絵巻」「吉備大臣入唐絵巻」「病草紙」「餓鬼草紙」「地獄草紙」などが現存するのみである。これらの絵巻研究は個別の作品研究が中心であり、後白河院による絵巻制作の全容とその意味は未だ明らかにされていない。これは「年中行事絵」をはじめとする行事絵や「彦火々出見尊絵巻」が模本でしか現存していないことが要因であると考えられる。本研究は、今まであまり注目されることのなかった模本の調査研究と資料収集を通して、後白河院の絵巻制作とその機能を複眼的に、また総合的にとらえるものである。
まずはじめに、福井・明通寺蔵「彦火々出見尊絵巻」模本と「伴大納言絵巻」「吉備大臣入唐絵巻」を取り上げ、人物表現を中心に比較検討をおこなった。「彦火々出見尊絵巻」に措かれた人物は、絵所絵師常磐光長系の表現としてパターン化されているが、龍王の姫君の特異な表現から、治承2年(1178)平徳子の皇子出産が絵巻制作の契機になったと考察される。さらに、陸地と龍宮を往還する神武天皇の祖父の物語である「彦火々出見尊絵巻」は、異国の征服と皇統の視覚化を目的として制作されたと解釈することができる(詳細は、「措かれた出産-「彦火々出見尊絵巻」の制作意図を読み解く」(服藤早苗・小嶋菜温子編『生育儀礼の歴史と文化-子どもとジェンダー-』森話社、平成15年3月)にて発表した)。後白河院が制作させた絵巻群は、自国の支配と異国の支配、そして、皇統と皇権の表象であった。後白河院は、絵巻制作というイメージ戦略によって、自らの権威を認識させようとしたと考えられるのである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 稲本万里子: "描かれた出産-「彦火々出見尊絵巻」の制作意図を読み解く"服藤早苗・小嶋菜温子編『生育儀礼の歴史と文化』(森話社). 109-164 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] "Visual Images of Birth Celebration Rituals: A Look Behind the Hikohohodemi no Mikoto Emaki"Seiikugirei no rekishi to bunka: Child and Gender, Sinwasha. 109-164 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

URL: 

公開日: 2004-04-14  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi