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2000 年度 実績報告書

視聴覚複合刺激による行動解発の機構:鳥類の歌システムをモデルとした研究

研究課題

研究課題/領域番号 11610068
研究機関千葉大学

研究代表者

岡ノ谷 一夫  千葉大学, 文学部, 助教授 (30211121)

キーワード視覚 / 聴覚 / 複合刺激 / 大脳 / 即初期遺伝子 / エストラジオール / ジュウシマツ / 鳥類
研究概要

先年度は、主に鳥類オスを対象として、行動レベルにおいて画像と音声の複合効果を検討してきた。今年度は、神経解剖学的・内分泌的レベルにおいて複合刺激の効果を検討する実験を行った。このため、ジュウシマツオスの求愛刺激をメスが受容する場面を想定し、メスを被験体とした。オスがメスに歌とダンスで求愛する様子をビデオで記録し、この刺激を視覚のみ(V)、聴覚のみ(A)、視聴覚双方(V+A)と編集し、メスへの効果を測定した。
実験1では、これらの刺激がメスの受容行動と内分泌系に与える影響を検討した。メスのジュウシマツを防音箱で1日隔離し、1日に1度だけ、AのみまたはV+Aのいずれかの刺激を提示した。結果、ジュウシマツメスは、V+A刺激の際にのみ交尾受容姿勢を示した。また、刺激後の血中エストラジオールレベルはV+Aの場合のみ通常時より優位に増加していた。したがって、視聴覚複合刺激が、メスの性的受容をより効果的に促進することがわかった。
実験2では、これらの刺激がメスの大脳にどのような影響を与えるかを検討した。実験1同様、メスのジュウシマツを防音箱で1日隔離し、Aのみ、Vのみ、V+Aのいずれかの刺激を30分間与えた。コントロールとして、何の刺激も与えない条件も用意した。刺激終了後1時間で動物を殺し、その後30分以内で脳を生理食塩水とホルマリンで灌流固定した。脳を厚さ50マイクロメーターの切片にし、免疫組織化学の手法により即初期遺伝子zenkが作るタンパクを検出した。鳥類大脳においてはzenkは細胞活動のマーカーとして用いることができる。結果、zenkが作るタンパクはV+AとAでほぼ同じ、Vのみではわずかながら検出されたが、コントロールでは全く検出されなかった。この実験は、即初期遺伝子が視覚刺激でも発現されることを示した初めての実験だが、視聴覚刺激の複合効果については天井効果により検討できなかった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 佐藤敏正,池渕万季,岡ノ谷一夫: "鳥類における自種・他種の求愛行動に対するメスの反応と性ホルモン分泌量の変化"Annual Meeting of Japanese Avian Endocrinology. 25. 19-20 (2000)

  • [文献書誌] 高橋美樹,岡ノ谷一夫: "ジュウシマツにおける視覚的"補完":生態学的アプローチ"動物心理学研究. 50・2. 300 (2000)

  • [文献書誌] 岡ノ谷一夫,高橋美樹,池渕万季: "ジュウシマツのオスの歌行動を誘発するメスの刺激特性"動物心理学研究. 50・2. 271 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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