研究概要 |
昨年に続き,セキセイインコを被験体として,^3H-2DGオートラジオグラフィ法で,脳内の聴覚性反応部位を調べた。2DGの黒化像が見られた部位は,前脳部でBas(nucleus basalis)及びNF(neostriatum frontal)に,その後方ではE(ectostriatum)及び近傍のNIL(neostriatum intermedium,pars lateralis)に認められた。さらに後方では,VLV(nucleus ventralis lemnisci lateralis),LLv(nucleus lemnisci lateralis,pars ventralis),MLd(nucleus mesencephalicus lateralis,pars dorsalis)に黒化像が認められた。また,顕著な2DGの取り込みはField L2a,Field L1,Field L3,及びNCm(neo-striatum caudale,pars medialis)といったField L Complexにも認められた。本研究の聴覚関連核の同定から,インコの聴覚経路は2系統あることが示唆された。 カジカを被験体とした研究では,バイカル湖カジカが生餌を積極的に追跡するという性質を利用して,この被験体の餌取り行動の特徴を分析し,活動の日周性について検討した。その結果餌取り行動は次の5種類に分類された:来た餌を待つ(自分は動かない),餌に接近・移動する(3cm以内/3cm以上),水平に追跡する,垂直にも追跡する。これらの行動を指標に活動の日周性を調べたところ,20時頃にもっとも活発になり,その次が3時頃という,日没直後と日出直前という2相性が観察された。また振動性感覚の中枢分析では,切片作製が他の動物より困難であり,現在様々な試みをしているところである。
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