短日環境(8週間)からシリアンハムスターにとって中性的な光周期環境であるLD12.5:11.5の光周期環境へ12週間暴露したとき、および長日環境(8週間)からLD12.5:11.5へ12週間暴露した時の水剥奪によるストレスの性発達に及ぼす効果を実験検討した。その結果、精巣発達は長日環境を経験してきた群において、短日環境を経験してきた群に比べ、抑制された。これは長日経験群はLD12.5:11.5の光周期を主観的に"短日"と捉え、逆に短日経験群は主観的に"長日"と捉えたためと解釈された。このことは水剥奪によるストレスが、自然では秋・冬環境に向かう時において、春・夏に向かう時と比べ、生体に大きく作用することを意味する。つまり、過去の光周期経験によって、光環境は受け取られ方が異なった。ここでもまた、水剥奪によるストレスは特にそれが予測できない場面で、生体に大きく作用することがわかった。 次の問題は明期を同じ量、減少させるが、長日→長日と長日→短日でストレスの生体に与える効果が異なるのか、を確定する必要があり、現在実験検討中である。また、ストレスを緩和させる要因として、居住環境の改善が推論される。これは動物の飼育ケージに遊具などを導入することによりデザインされ、上記の実験環境で検討中である。
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