研究概要 |
大阪府立母子保健総合医療センターで出生した出生体重1500g未満の極・超低出生体重児25名について,担当の看護婦に依頼し,NICUにおける児の様子を簡易版新生児行動評定尺度を用いて評価した簡易版新生児行動評定尺度は,Brazeltonの新生児行動評定尺度をもとに,(1)易刺激性,(2)なだめ易さ(3)反応性,(4)活動性,(5)抱き易さ,(6)強化値(赤ん坊の魅力)の6項目について,5段階で評価する尺度で,独自に作成した.その結果,9名(36.0%)に,易刺激性,なだめ易さに関して2以下の低い評価が下された.そのうち6名については,抱き易さでも2以下の低い評価が下され,さらに2名は.強化値も低かった.全体に評価が低かった児の1名については,退院後の母子の愛着形成に困難が生じた評定者間の一致率は40〜80%で,反応性(80%)となだめ易さ(60%)が比較的高い一致率を示した また,平成10年3月から平成11年6月までに出生した極・超低出生体重児56名を対象に,1歳半に達した時点での行動観察を順次実施している.現在までに11名について,発達検査場面における行動を8mmVTRカメラ(Sony,TRV66K)を用いて記録した.なお,事前に,文書にて保護者に研究の目的と方法について説明し,協力を依頼して,保護者の同意が得られた場合のみ観察を行った.現在,(1)検査中の児の言語的・非言語的活動性,(2)検査への注意の集中や持続,(3)検査者への反応性,等について分析を進めている.最終的には,学齢期の超低出生体重児に特徴的な行動問題としての多動性や注意集中困難につながる乳幼児期の行動指標を見出し,行動問題の初期発達について明らかにする.
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