研究概要 |
極・超低出生体重児を対象に、NICUにおいて対象児を担当する看護婦による簡易版新生児行動評定尺度を用いた評定を実施した(N=24)。さらに、4ヶ月、10ヶ月、18ヶ月齢の各時点で新版K式発達検査を実施し、検査場面における対象児の行動をVTRに記録し、ワンゼロサンプリング法による定量的分析を行った。その結果、NICUにおいて、活動性が高いと評価された児ほど、4ヶ月齢の検査場面でよく泣く傾向が見られた(p=0.07)。また、NICUにおいて、いらだち易く、なだめにくく、抱きにくく、強化値が低い(大人を引きつける魅力に乏しい)と評価された児ほど、4ヶ月齢では、下肢の動きが活発である傾向が認められた(p<0.1,p<0.1,p<0.1,p<0.05)。抱きにくいという評価は、上肢の動きの活発さとも相関を示した(p<0.05)。また、4ヶ月齢で、上肢や下肢の活動性が高かった児は、10ヶ月齢の検査場面で、検査者への注視が少ない傾向が見られた(p<0.05,p<0.1)。10ヶ月齢における検査者への注視の少なさは、将来の注意集中困難を予見させるが、本研究の結果からは、さらにその初期兆候として4ヶ月齢における上肢や下肢の動きの激しさが認められたことが注目される。特に、下肢の動きの激しい子どもは、NICUにおいて、いらだち易さ、なだめにくさ、抱きにくさ、強化値の低さを特徴とし、いわゆる育てにくい子どもであったことも注目に値する。対象児の中には、NICUにおけるカンガルーケアや退院後1年間月1回の母子グループによる早期介入を受けた児も含まれていたが、これまでの分析により、カンガルーケアを受けた児は1歳半の時点で発声・微笑みを多く示すという結果が得られており、今後行動問題の予後をさらに追跡すると共に、早期介入が行動問題の出現に与える影響についても分析する必要がある。
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