研究概要 |
本研究は聴覚刺激ならびに嗅覚刺激によって惹起される感情(快-不快)が、当該刺激呈示中に呈示される強音によって誘発される驚愕性瞬目反射量を指標として評価しうるかを検討するものであった。こうした実験パラダイムは「驚愕プローブパラダイム(startl probe padadigm」と呼ばれる。研究成果は以下の4点に要約できる。 1.標本音刺激の標準化:パソコンのサウンド編集機能を用いて、自然音、環境音、人工音、楽音からなるデジタル音源データベースを作成した。これらの音源のうち、日常生活で経験する頻度の高い45種について11名の大学生を対象とした調査から27種を選び、さらに77名の大学生を被験者として、快適性評価の標準値を得た。ここで呈示刺激の持続時間は10s、r/f時間は0.1-0.5sとし、刺激提示後5s間で心地よさ(快-不快度)を6段階尺度で評定させた。その結果、最も不快は歯医者ドリル音、最も快は風鈴の音であった。 2.聴覚刺激事態での驚愕プローブ効果:24種類の聴覚刺激を用いて驚愕プローブ効果を検討した。聴覚刺激の呈示時間は8s、驚愕誘発刺激はr/f時間0.1ms以内で50ms持続する110dBの白色雑音であった。その結果、快適と評価された音刺激条件では反射抑制、不快と評価された音刺激条件では反射促進が認められた。 3.嗅覚刺激を用いた驚愕プローブ効果:快臭2種と不快臭2種を用いて、嗅覚刺激と驚愕誘発刺激の刺激間間隔の効果を0.5s,1.5s,3sの3条件間で比較し、1.5sが驚愕プローブ効果判定のための最適刺激間間隔であることがわかった。 4.嗅覚刺激呈示方式の改良:嗅覚刺激呈示を急峻にすべく、呼気開始を検知して吸気時に嗅覚刺激を鼻腔粘膜に噴霧するシステムを新たに採用し、某清涼飲料水臭を快臭として無臭気と比較した。刺激間間隔は1.5sとしたが、11名の被験者から得られた資料は両条件間に差を認めなかった。
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